奇跡の血量とは?根拠、奇跡の血量を持つ歴代・現役名馬一覧

競馬はブラッドゲームと呼ばれるほどに、親やそれ以前の馬から継いだ血統が産駒に反映されます。

 

公営競技の中でも、血統という概念は、競輪やボートレースにはなく、競馬独自の予想スタイルです。

 

血統はレースにおいても大きく反映されます。例えばディープインパクトの産駒は若いころから好走率が高かったり、ステイゴールドの仔は丈夫であったり、サクラバクシンオー産駒は父と同じく短距離舞台で結果を残します。

 

このように、血統要素は決して過少できません。レースを大きく左右することから、むしろ血統を重要視する馬券購入者も数多く存在します。

 

その中でも、今回紹介したい奇跡の血量とは、血統バランスが絶妙で、レースで好走する馬が多いことから、各生産者がこぞって奇跡の血量になるような配合に取り組んでいます。

 

ここでは、奇跡の血量について説明した後に、実際に奇跡の血量を持つ馬を歴代、現役馬に分けて紹介していきます。

 

奇跡の血量とは

奇跡の血量とは、1頭のサラブレッドに流れる血量が18.75%継いでいることを指します。

 

血統はサラブレッドの両親やそれ以前の親族の血統を継ぎ、パーセンテージで表すことができます。

 

分かりやすく、実在の馬の血統を用いて説明していきます。

オルフェーヴルの五代血統表

(参考:https://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

 

上の図は現役時代にクラシック三冠を成し遂げただけでなく、凱旋門賞で2年連続で2着に入選した名馬オルフェーヴルの五代血統です。

 

三冠馬オルフェーヴルの血統は父ステイゴールドの血量が50%、母オリエンタルアートの血量が50%ということになります。

 

競走馬の血量は1世代前の両親の血量を50%、2世代前の血量を25%、3代前の血量を12.5%、4代前の血量を6.25%と表します。

 

オルフェーヴルは、父の父にあたるサンデーサイレンス、メジロマックイーンの血量をそれぞれ25%ずつ継いでいるサラブレッドであるともいえます。

 

ここで、オルフェーヴルの血統を遡ってみると、父方の4代前(オルフェーヴルから見て父の母の母の父)と母方の3代前(オルフェーヴルから見て母の母の父)にノーザンテーストという馬が存在することが分かります。

 

血統表の中に同じ馬が複数存在する場合は、その世代ごとに数値を足し、その値がサラブレッドの血量になります

 

オルフェーヴルはノーザンテーストの血量を12.5%+6.25=18.75%継いでいこととなり、奇跡の血量を所有していることになるのです。

 

オルフェーヴルに限らず、奇跡の血量を持つ馬は4代前と3代前に同じ馬が存在することが多く、その馬の特徴を継ぐ傾向が非常に強いのです。

 

奇跡の血量が注目されたきっかけ

奇跡の血量が注目され始めたのは1960年のことです。この年の皐月賞・ダービーを制したコダマがブランドフォードの4×3でした。

 

このコダマは皐月賞にて2着馬に6馬身差の圧勝、ダービーは1.4/3馬身差の勝ちっぷりで当時のレコード勝ちでした。

 

この活躍と、デビューから無敗でダービーを制したことから、競馬関係者のみならず、競馬に興味のないファンにもコダマの名前が浸透し、コダマは競馬ブームの火付け役となりました。

 

コダマの活躍により、血統における4×3の配合バランスに多くの人が注目することとなったのです。

 

奇跡の血量は血統バランスが非常に良い

サラブレッドは、両親の血統を濃く反映する生き物です。

 

そのため、種牡馬入りする馬も、繁殖牝馬入りする馬も、現役時代に活躍した馬が多く、強い馬同士の交配で、より強い馬づくりが日々行われています。

 

しかしながら、サラブレッドの生産者の多くは、サラブレッドの血統を常に意識しながら慎重に、交配相手を選出しています

 

サラブレッドは両親の血を継ぐため、極端な話、ものすごい強い馬同士で交配を繰り返したら、より強い馬が誕生するように思いますが、そう簡単な話ではありません。

 

なぜなら、両親の血が濃すぎると、虚弱体質の馬や、気性難の馬が産まれやすいからです。

 

人間でも、兄妹で交配することはありません。なぜなら、血のバランスが濃すぎると、身体や精神に何らかの障がいを持つ可能性が高いからです。

 

これは、サラブレッドにもいえることで、あまりにも濃くなるインブリード(近親交配)は競馬界ではタブーとされます。

 

しかしながら、親の遺伝子を仔に継がせるには、血統バランスが薄すぎてもよくないのです。

 

その中で、虚弱体質や気性難といったリスクを限りなく抑え、なおかつ、両親の特徴が継がれる絶妙な交配バランスが4×3の奇跡の血量だったのです。

 

奇跡の血量が走るという根拠は?

結論から言うと、奇跡の血量が走るという根拠はありません

 

オルフェーヴルのように奇跡の血量を持ちながら活躍する馬がいるのも事実です。

 

しかし、オルフェーヴルと同じ三冠馬のディープインパクトのように、両親に同一名が一切存在しないアウトブリードの馬でも、大舞台で勝った名馬もいます。

 

世界を見渡すと、イギリスのエネイブルのように、サドラーズウェルズの3×2、言い換えればサドラーズウェルズの血量を37.5%継ぐ、超インブリードの馬でも結果を残しています。

 

奇跡の血量はあくまで、好走する確率が高くなるというだけで、奇跡の血量を持つ全ての馬が大舞台で活躍するわけではないのです。

 

奇跡の血量を持つ歴代名馬6頭

先ほど例に挙げたコダマ、オルフェーヴル以外の競馬界で活躍した奇跡の血量を持つ馬を紹介していきます。

 

テスコガビー(1972年生誕)

桜花賞にて10馬身以上の大差で圧勝、続くオークスにおいても8馬身差の圧勝を遂げたテスコガビーはイギリスの競走馬でリーディングサイヤーとなったナスルーラの4×3です。

 

桜花賞にて2着との着差に「大差」が付けられた史上初の馬で、これは2020年、現在に至るまで誰も塗り替えていないテスコガビーのアイデンティティーとなっています。

 

かなり昔の馬ですが、その勝ちっぷりと名実況から、2013年にJRAが取り組んだ「THE LEGEND」に起用されました。

>>テスコガビーのCM(Youtube)

 

トウショウボーイ(1973年生誕)

古くから競馬に携わっている人には懐かしい名前の馬でしょう。

 

1970年代にテンポイント、グリーングラスと並んで「TTG時代」を作り、競馬界に大きく貢献しました。

 

トウショウボーイはイギリスの競走馬であったハイペリオンの4×3です。

 

トウショウボーイの主な勝鞍は

皐月賞(1976)

有馬記念(1976)

宝塚記念(1977)

です。

 

引退後は種牡馬入りします。

 

繁殖牝馬の能力問わず、安定した成績を持つ馬を数多く輩出します。産駒の活躍する中で低価格で種付け料が提供されたのも特徴で、中小生産牧場にとっては「お助けボーイ」と呼ばれました。

 

輸入種牡馬が台頭する時代に、国産種牡馬の低評価を覆す活躍を見せたトウショウボーイは1992年に蹄葉炎のために亡くなりました。

 

メイセイオペラ(1994年生誕)

現役時代は岩手の水沢に所属し、地方所属馬ながら、中央で開催されるダートG1、フェブラリーステークスを制した、2020年5月時点で、地方から中央G1を制した史上ただ一頭の馬です。

 

メイセイオペラはノーザンダンサーの4×3の馬です。

 

フェブラリーステークス以外にも地方のG1であるマイルチャンピオンシップ南部杯や、帝王賞を勝ち切りました。

 

引退後は種牡馬入りしましたが、国内ではそこまで活躍する馬を輩出しません。

 

しかし、どういうわけか産駒は海を挟んで隣国の韓国で活躍することが多く、最終的には韓国で種牡馬入りすることとなりました。

 

2016年に心不全のために亡くなりました。

 

ちなみにメイセイオペラも先ほど紹介したテスコガビーと同じく、JRAの「THE LEGEND」に起用されています。

 

>>メイセイオペラのCM(Youtube)

 

エルコンドルパサー(1995年生誕)

生涯成績11戦8勝で、連対率100%と、非常に安定した成績でターフを駆け抜けたエルコンドルパサーもメイセイオペラと同じくノーザンダンサーの4×3です。

 

主な勝鞍はNHKマイルとジャパンカップで、ジャパンカップの前に出走した毎日王冠では、サイレンススズカやグラスワンダーと共に出場したことで、G2にも関わらず、東京競馬場に13万人の観客が訪れたのは有名な話ですね。

 

ジャパンカップでは、現役時代も繁殖牝馬としても大活躍したエアグルーヴに2馬身半差をつけ快勝。

 

古馬となってからは凱旋門賞を目標に、ヨーロッパ遠征をし、本番となった凱旋門賞にてモンジューの2着に入選したのは古くから競馬に携わっている人にとって記憶に新しいでしょう。

 

7歳という若さで死去しましたが、産駒にダート馬ヴァーミリオンや10歳でステイヤーズステークスを制したトウカイトリックがいます。

 

また、ブルードメアサイヤーとしてはエリザベス女王杯と宝塚記念を制したマリアライトがいます。

 

エルコンドルパサーの血は今後も引き継がれていくことでしょう。

 

ブエナビスタ(2006年生誕)

スペシャルウィーク産駒最高傑作ともいえるブエナビスタヘイローの4×3です。

 

現役時代に

阪神ジュビナエルフィリーズ

桜花賞

オークス

ヴィクトリアマイル

天皇賞(秋)

ジャパンカップ

6つのG1を手にしました。

 

2歳から5歳まで一級戦で戦い抜いた牝馬で、ドリームジャーニーやヴィクトワールピサ、トーセンジョーダンといった相手に引けを取らない活躍を見せました。

 

5歳の引退レースに、その年のクラシック三冠を手にしたオルフェーヴルに、次世代の競馬界を担うように、引退しました。

 

レイデオロ(2014年生誕)

2017年の日本ダービーを制したレイデオロはアメリカのミスタープロスペクターの4×3です。

 

日本ダービー以外にも当時G2で開催されていたホープフルステークスをはじめ

天皇賞(秋)

神戸新聞杯

オールカマー

と、5つの重賞タイトルを手にしました。

 

5歳になってからは、かつての威光を取り戻すことができず、凡走が続いてしまい、2019年の有馬記念を最後に引退してしまいます。

 

それでも、4歳までは中距離前線で活躍していたことから、引退後は、ポストキングカメハメハとして、種牡馬入りが予定されています。

 

奇跡の血量を持つ現役馬2頭(2020年)

2020年5月26日現在、現役で活躍する奇跡の良血馬を紹介します。

アドマイヤマーズ(2016年生誕)

現役で活躍するマイラーのアドマイヤマーズヘイローの奇跡の血量を持つ馬です。

 

しかしながら、これまで紹介した4×3の血量ではなく、3×5×5という、極めて稀な配合で産まれた競走馬です。

 

いまも活躍しているアドマイヤマーズは

朝日杯Fフューチュリティスエークス

NHKマイルカップ

香港マイル

と3つのG1を手にしています。

 

2020年5月時点で、次走は、強豪連なる安田記念を予定しています。

 

ヘイローの奇跡の血量を持つアドマイヤマーズが、現役最強牝馬のアーモンドアイや昨年のマイル王インディチャンプ、ダノン軍団に一矢報いるか注目ですね。

 

デアリングタクト(2017年生誕)

毎週欠かさず競馬予想されている人にとって、記憶に新しい馬でしょう。

 

デビューから無敗で桜花賞を制し、クラシック2戦目となるオークスを、63年ぶりとなる無敗で牝馬二冠を手にしたデアリングタクトはなんと、サンデーサイレンスの4×3です。

 

1990年代初頭に日本競馬界を風靡したサンデーサイレンスもついに、奇跡の血量を持つ産駒を輩出することになりました。

 

デアリングタクトはその末脚が最大の武器で、エルフィンステークスでは、全姉にオークスを制したシンハライトを持つライティアを赤子扱いしました。

 

続く桜花賞では、重馬場をものともしない末脚で、2歳女王レシステンシアを捕らえて優勝し、オークスでは直線で馬群を抜け出すと、先頭で走るウインマリリンをかわして優勝しました。

 

桜花賞は重馬場、オークスでは馬群から抜け出さざるを得ない状況で、決して最良とは言い難い中で二冠を手にしたデアリングタクトには、サンデーサイレンスの特徴がしっかりと受け継がれています。

 

松山弘平騎手とのコンビで、秋の更なる飛躍に期待がかかります。

 

奇跡の血量を持つ馬は意外と多い

簡単ですが、奇跡の血量について紹介させていただきました。

 

かつては外国種牡馬の奇跡の血量を持つ馬が多かったですが、今年は、外国産駒とはいえ、日本でもなじみ深いしたサンデーサイレンスの奇跡の血量を持つデアリングタクトも活躍してきました。

 

いずれは、国内種牡馬の奇跡の血量を持つ馬もでてくることでしょう。

 

奇跡の血量を持つ馬の活躍に今後も期待したいですね。

 

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